暑い夏や寒い冬は,外出するのも大変です.そんなとき空調が効いていることも多い地下街やショッピングモールなどを歩いて壁や床の石材を観察してみましょう.石材によっては,実は立派な化石やきれいな鉱物が入っていることがあります.いくつかの事例を紹介します.
壁や床に使われる石
大きな駅や地下街,ショッピングモールなど,建物が多く集まっている場所では,壁や床に色々な石材が使われています.これらの石材は,その空間のデザインや雰囲気を決める重要な要素です.これらの石材は,日本や世界各地の岩石が切り出されて,その場所に運ばれてきたことになります.どこの産地かを調べることは難しいですが,化石や鉱物が目立つ有名な石材もあります.
例えば,次の写真は大阪駅中央コンコースの柱に見られるアンモナイトです.


石材に注目して街を歩いた経験のある人は多くないと思いますので,まずは観察してみてください.観察する際には,スマホなどで写真を撮り(できればスケールも入れましょう),コレクションすると良いと思います.
街の石材に見られる化石
化石は,生物の遺骸や生活の跡が岩石として残されたものです.石材を作る岩石は,大きく分けると火成岩,堆積岩,変成岩の3種類があります.特に,化石を含む岩石は堆積岩です.中でも石灰岩や大理石(これは変成岩に分類されます)は,化石を含み商業施設やビルにもよく使われる石材です.
わかりやすい化石の例として,名古屋駅のアンモナイトとべレムナイトの写真を紹介します.



切り出された元の岩石に化石が入っていて,切られたときに断面にうまく化石があれば,上の写真のような化石が現れます.きれいに磨かれているのでとても観察がしやすいです.また,アンモナイトやべレムナイトが見つかったということは,この石材はアンモナイトが生きた中生代のもので,恐竜が歩いていた頃にあった岩石ということになります.アンモナイトは中学校で学習する示準化石です.
街の石材に見られる鉱物
石材は岩石でできています.岩石は鉱物がいくつか集まったもので,石材の中にもいくつかの種類の鉱物が含まれます.岩石がつくられるときに,鉱物がしっかりと成長したものは,大きくてきれいな鉱物を含んでいる場合があります.例えば,わかりやすい鉱物としてザクロ石(宝石名:ガーネット)を紹介します.



化石と同じように,鉱物も断面にうまく位置していると,きれいに切断され,研磨されているので,非常に美しい姿を見ることができます.太陽の光などが当たっていれば,小さいですが美しいです!皆さん,知らないので,近づいてじっくり見る人はあまりいないでしょう(笑)
京都駅「石の博物館」
最後に,まとまって石材の観察ができる場所を紹介します.京都駅北口(京都タワーのある方)には,「石の博物館」と呼ばれる場所があります.ここには288種類の石材がプレートとして柱に埋め込まれています.お近くの方は,どんな石材があるのか,訪れてみてはいかがでしょうか.



まとめ
最後までお読みいただいてありがとうございました.ちょっとした乗り換えや待ち合わせの隙間の時間で,大昔の石材を観察して,太古に思いをはせることもできます.自由研究などで親子や友達と観察してみるのも良いと思います.
なお,人が集まるところが多いので,通行人や駅施設の迷惑にならないようにしましょう.商業施設の場合には,店員さんや係の方に,一言,声をかけて可能な範囲で観察させてもらいましょう.
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