東京駅の石材に含まれるカニ化石を見に行こう

お出かけ・野外

以前,話題になった東京駅で発見されたカニ化石を見に行ってきました.ここでは,発見のTwitterや化石の場所,実際に見られた化石の写真を紹介します.是非,乗り換えの時間や旅行の行き帰りなど,東京駅をご利用の際は,迷惑にならないように探してみてください.

発見のTwitter

以下のTwitterの記事を書いた方が発見されました.日本でも有数の人通りの多い場所で,あまり気づかれることもなく,ずっと存在したのですね.石材に化石でも入っていないかな?という視点があれば,何気ない日常の風景もこうして変わっていくのだと思います.実際に見に行ってみても,この方の観察力には脱帽です.

カニ化石の場所

カニ化石のある場所は,東京駅改札内の「東北・山形・秋田・北海道・北陸新幹線 南のりかえ口」になります.南のりかえ口を出るとすぐ前に,下の写真のように10段程度の階段があります.

ここを下りた正面は,エキュート東京への入り口がありますが,エキュート(丸の内方面)に向かって右手側の区間が,下の写真のようにお土産などを売るところになっています.

この区画の柱にカニ化石があるのですが,写真を撮影したときは「ごまたまご」の看板が目印になりました.今後,看板が変わる可能性はあると思いますが,ごまたまごの売れ行き次第でしょうか(笑).下の写真のように,カニ化石のある柱のバックに「新幹線南のりかえ口」とあるので,位置関係がお分かりでしょうか.

おおよその位置を簡単な地図で示しておきますので、参考にしてください.

カニ化石を観察しよう!

うまくたどり着いたら,化石を探してみましょう.ちょうど看板の左側に注目してみましょう.

拡大したものが下の写真です.目やハサミ脚の部分も確認できます.石材の中の化石は,きれいに磨かれた断面として見つかるので,化石の形もしっかりと観察できるのが特徴です.貝やアンモナイトの化石がよく見つかりますが,カニは初めて見ました.ちょっとした宝探しですね!

カニが化石として残されているという事は,この石材はカニが生息していたような海で堆積した地層(岩石)であることが推定できます.その岩石が切り出され,まさか東京駅に使われるとは,化石になったカニもビックリしていることでしょう.

石材の化石からわかること

せっかく化石を見つけたので,中高の理科(地学分野)との関係も含め,もう少し観察してみましょう.中学理科では,地層の学習で「示準化石」と「示相化石」を学びます.

「示準化石」はその地層が堆積した年代が推定できるもの「示相化石」はその地層が堆積した環境がわかる化石です.つまり,化石からはその地層が堆積した年代や環境が推定できるということになります.このカニの種類がわかり,もし,他の研究からこのカニが生きていた時代が比較的短く限られるということになれば,示準化石として時代を決めることができます.

でも,このカニ化石より有名で,高校の地学基礎の教科書にも出てくる示準化石がこの柱や周辺の柱に見られます.それが下の写真のような「貨幣石(ヌンムリテス)」です.

同心円状の模様に見えると思いますが,よく見ると殻が連続してグルグルと渦を巻いています.直径が1~2cmのものが多く(大きなものは10cmになるものもいる),コイン(貨幣)に似ていることから貨幣石と呼ばれます.石灰質の殻を持つ有孔虫という生き物の一種です.

この貨幣石(ヌンムリテス)は,古第三紀始新世(約 5600 万年前~3400 万年前)の地層から見つかるため,示準化石としての役割を果たします.つまり,東京駅のこの柱に使われている石材(石灰岩)は,はるか古第三紀始新世に地層となった岩石だということになります.

そういう目で柱を見てみると,なかなか種類や名前まではわかりませんが,下の写真のように,同じ時代・環境にいただろう生き物の化石が他にも含まれています.

最後までお読みいただいてありがとうございました.ちょっとした乗り換えや待ち合わせの隙間の時間で,数千年前の石材を観察して,太古に思いをはせることができます.通行人や駅施設の迷惑にならないよう,ゆっくりと眺めてみてください.

石材に興味を持った方は以下の書籍がおすすめします.



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