私たちの生活や社会に欠かせない紙幣(お札).紙幣を見たことがない人はいないと思いますが,じっくりと観察したことはありますか??紙幣には,主に偽造防止のため,様々な印刷技術が使用されています.お札を透かすと人物が浮かび上がることは,比較的知られていますが,ここではその他の仕掛けも観察・実験します.透かして,傾けて,拡大して,紫外線を当てて・・・紙幣の観察を通して科学技術を学び,身近な科学に触れてみましょう.
準備・注意点
お家にあるもので簡単に実験・観察ができます.
【準備物】
- 千円札,五千円札,一万円札,二千円札(すべてなくてもよい)
- ルーペ,拡大鏡,USB顕微鏡など ※高倍率でなくてよい
- ブラックライト ※6. 紙幣に紫外線を当ててみよう!にのみ使用
【注意点】
- お札を準備するときは,大人にお願いして指示に従いましょう.
- お札は破れたりしないように丁寧に扱いましょう.
- ブラックライトを使う場合,直接,光を見ないよう注意し,大人と一緒にやりましょう.
- 最後にきれいに手を洗いましょう.
紙幣を透かしてみよう
蛍光灯などに紙幣の中心部を透かしてみましょう.中心部に肖像が現れるのは知っている人も多いと思いますが,実は,紙幣の右下の部分(緑の丸)に太めの縦線が入っています.
他の紙幣も観察してみましょう.千円札が1本,五千円札が2本,一万円札が3本と区別することができます.
万円札
紙幣を傾けてみよう
次に,目線の角度を変えて,横や斜めからお札を見てみましょう.ややピンクがかった,弧のような丸みを帯びた長方形の部分が,次の写真のように観察できます.
さらに,紙幣の印章の下の部分(中央やや左下)には傾けて変化する仕掛けがあります.例えば,千円札では,見える絵が変わります.
また,五千円札と一万円札では,次の写真のようなホログラムがついていて,角度によって色も変化してきれいです.
紙幣を拡大してみよう
今度は,お札をルーペやUSB顕微鏡で拡大して観察してみましょう.くまなく探せば,あちこちに小さな文字が見つかります.道具がない場合は,肉眼で挑戦してみてください.肉眼でも次の写真のような文字っぽいものがあることがわかると思います.
「NIPONGINKO」というマイクロ文字は見つかりましたでしょうか?これはコピー機では印刷ができないほど細かな文字になります.ここまで観察できたなら,次の写真にある千円札の「1000」,五千円札の「5000」,一万円札の「10000」を探してみてください.裏表のどちらも見ましょう!
さらに時間のある人は,千円札にある幸せのハートマークを探しましょう!!!拡大してみると次の写真のようなハートマークが💖私自身も観察していて見つけましたが,ハートですよね?意図があるのか…遊び心なのか…
以下の記事でも紹介したマクロレンズでの観察もおすすめです.写真も撮れるので!
紙幣の手触りを調べてみよう
紙幣を触ったことがない人は少ないと思いますが,意識して触ることは少ないでしょう.実は少しだけ凸凹がある部分があります.目をつぶって集中し,触ってみましょう.
上の写真の「壱万円,五千円,千円」が少し凸凹しているのがわかったでしょうか.この部分を先ほどのUSB顕微鏡で観察してみると,凸凹しているのがわかります.
さらに,目が不自由な人への配慮もなされています.紙幣の右下には,網掛けのような模様があります.これは紙幣によって異なります.目をつぶって触ってみて,区別できるか確かめてみましょう.
紙幣に紫外線を当ててみよう
紫外線を出すブラックライトが手に入る人は,紙幣に紫外線を当ててみてください.赤い印章に当てると,色が変化する部分があります.なお,取り扱いに気をつけて,部屋を暗くすると観察しやすいです.
まとめ・参考
このように,紙幣には,最先端の技術で精巧な印刷がなされていることがわかったと思います.そのことは,紙幣の偽造を困難にし,お金の信用を高めます.また,目の不自由な方が触って区別できるような配慮もなされています.つまり,経済や社会を支えている身近な科学技術といえます.そんなことを感じながら,この実験・観察で学んだことを振り返ってみてください.
【参考文献】
・国立印刷局ホームページ:https://www.npb.go.jp/ja/intro/gizou/
【参考リンク】よろしければ,小学館さんの取材を受けた記事もご覧ください.
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